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子どもの「気管支の過敏性」と「ぜんそく」について

かじがや小児クリニック 梶ケ谷保彦

247-0005 横浜市栄区桂町697-5 加藤ビル 2F  TEL 045-898-3456

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原因 と 対策

治療法

なおる見込み

発作時の対応

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原因 と 対策

 ぜんそく(喘息)は,「気管支の過敏性」のため,気管支が収縮して起こります.発作的におこり,繰り返します.症状は,「せき」と「ヒューヒュー」とか「ゼロゼロ,ゼーゼー」で呼吸が苦しくなります.ぜんそく発作時に呼吸困難がすすみ,治療しなければ窒息などで死亡することがありますので,小児科専門医の適切な指導のもとに予防治療を含めた継続治療が必要となる病気です.

 ぜんそくの原因は皆同じではなく個々のお子様で多少,異なり,また1人の患者さんで複数の原因が存在します.多くの方で,アレルギーが原因の1つとしておこります.アレルギーの誘因(アレルゲン)としてダニやハウスダスト(家塵),動物(ネコ,イヌ)のフケや毛,カビ,花粉,食物などがあげられます.最近は血液検査でこれらのアレルゲンにアレルギーをもっているかどうかが調べられます.検査でアレルゲンが判明した方は特に,ぜんそく発作の誘因を減らすために,そのアレルゲンを家庭周囲の環境から除去する努力が必要になります.たとえばダニの場合には,じゅうたんはよく掃除機をかけていても,板の間にくらべ,ダニの数が100倍くらいたくさんかくれていますので,じゅうたんの使用はさけたり中止することが望まれます.ふとんにもダニがたくさんいますので,こまめに干すことが必要ですが干すだけではいけません.ダニの死骸や糞は誘因になりますので,干したあと掃除機でアレルゲンを吸い取るようにすることが必要です.ネコ,イヌ,小鳥のような動物はぜんそくにはわるいので,動物にアレルギーのある方のみならず,ぜんそくのお子様は動物を飼うことはさけて下さい.

 その他に,運動,感冒などの感染,天候の変化,大気汚染,たばこの煙,緊張や精神的ストレスなどが原因となることが多く,複雑ですが,明らかなことは,これらの原因がかさなるとよりひどい発作にむすびつきます.運動はぜんそくの安定期には鍛練治療として効果的ですが,不安定期には発作の原因になりマイナスにはたらきますので,小児科医師の指導のもとに運動量を決めることが必要です.

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治療 と なおる見込み

 これからの見通しですが,小児ぜんそくは適切な発作時治療と予防治療により,約70〜80%が思春期までに治ります.思春期までの波にのりおくれないようにぜんそくを上手にコントロールしましょう.またこの波に乗り遅れそうな人も20歳でも治ったという人がいるくらいですから,希望を捨てずに一層,努力してほしいものです.

 したがってぜんそくは,なおりやすい子どもの時期に,治療によりできるだけ欲張って,より良い状態で治すことが重要です.これはどういうことかというと,発作の無くなったというだけでなく,「呼吸機能」も普通の人と変わらない,さらに「気管支の過敏性」も普通の人と同じレベルまで改善しているという状態にまでなってもらうことが,長い目でみた,予防治療の目標です.毎日毎日くすりを忘れずに飲んだり使ったりというのは大変なことかもしれませんが,そのような努力は,より良い状態で治るための努力であり,これにより何十年かたったあとの再発率(おとなになってまたぜんそくになってしまう率)を大きく低下させることになります.

 したがって,小児ぜんそくの薬物治療は発作予防が基礎になり,その内容は,重症度により違います.家庭での治療薬は,主に内服薬を用いたりする予防治療が主に行われなす.病状により吸入薬も併用することがあります.発作を起こさないようにするために,数カ月から数年にかけて,予防薬を毎日続けて内服したり吸入したりします

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発作時 の 対応

 このような予防治療により「気管支の過敏性」が徐々に低下して発作の再発頻度はかなり低下します.しかし,それでも誘因が同時に重なると,発作が誘発されますので,その際には医師から指示された頓服を内服します.病状により発作止めの吸入薬を自宅で用いる患者さんもいます.

 発作がおきたら,まず,衣服をゆるめ楽な姿勢をとり,自宅内で安静を保つようにしてください.ゆっくり腹式呼吸をして下さい.痰を出すようにします.水分を飲んで補給し下さい(痰を切れやすくするためです).そして,発作時には,医師から指示を受けているお薬を使用して下さい.年齢や病状によりお薬の種類(内服薬または吸入薬)が異なりますので,内服薬を処方されているかたは,指示(量と回数と時間間隔)どうりに内服して下さい.吸入薬を処方されている方は,指示(量と回数と時間間隔)どうりに吸入して下さい.

 以前は,長期間使用により副作用が心配なお薬(たとえば内服ステロイド剤など)しかありませんでしたが,最近(この25年)は診療所で処方されるお薬は医師の指示どうり用いれば長期間使用しても副作用がなく安全性の確認されたお薬です.しかし医師の指示以上に用いたりすると,中には心臓などの内蔵に負担がかかるお薬(発作止めなど)もありますので注意して下さい.まちがった使用により不整脈のため自宅で死亡する方もありますので,かならず経験豊富な小児科専門医の指導を定期的受診(2週間から4週間に1回)により受け,その指導を守ることが重要です.予防治療を途中で,かってに中断して,その後に発作が再発してから親やお子様の判断で発作止めのお薬(頓服,スプレー,吸入薬など)を使うのは最も危険で,この場合,指示以上に用いないとおさまらないことが多く,副作用出現が心配されますので,必ず,医師の指導を守ってください.

参 考 文 献

 1) 梶ケ谷保彦,他:小児気管支喘息824例における血清IgE値と特異的IgE抗体に関する検討.神奈川医学会雑誌(PDF)

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